アジのサーフィン
シュノーケルをしたことが無い人には想像が難しいかもしれない。
私が小さい頃はよくシュノーケルをしていた。
与論島の海の中は、空の青と白い砂の世界である。
水の中で仰向けになり水面を見ると、ゆらゆらと青い空が見える。
シュノーケルをしながら下を向いて泳いでいると、白い砂が見える。
そんな青と白だけの世界を泳いでいると、白い砂の方で、ぶわっっ!とか、きらっ!と、
なにかが動く事がある。
ギンガメアジや、ナンヨウカイワリといったアジの群れだ。
波が打ち寄せる浅瀬は、特に白い世界だ。
水面がざわついているので、光が水面で屈折し、海の底にある白い砂を反射させ、青かったはずの水面に白い砂が写し出される。
例えるならば、曇った空の様になる。
波が頭上を通り過ぎると、その波に沿って影が出来る。
波は影を作り、渦を巻く。
影が頭上を通り過ぎると、からだが浅瀬の方に、ゆらーと、流れる。
そして今度は逆方向にゆらーー。
寄せて返す波は私を、ゆらーゆらーと気持ちのいいリズムでなでる。
しばらくそのリズムに身を任せていると、渦を巻いた影の中から、なにかがこっちに近づいてくる。
ナンヨウカイワリの群れだ。
彼らアジの仲間は、この渦を巻いた影と一緒に浅瀬に向かって泳いだり、深場に向かって泳いだりしている。
サーフィンをするように。
そして時々、波が作った水しぶきが水面で跳ねると、アジたちはその水しぶき目がけて突進して行く。
とてもたのしそう。
波を想像するのは楽しい。
いや、最近サーフィンしてないので、ただの禁断症状かな。