レル・サンのように②
2話 波打ち際にて
陽子は健康にすくすくと成長してくれた。
親バカと言われるかもしれないが、彼女の笑顔は名前負けしない。
屈託の無い笑顔。
無邪気な笑顔。
本当に太陽の様だった。
私も妻も教育熱心で、私は子供達にたまにこんな質問をしていた。
「あなたは何のために生まれてきたの?」
私はこういった質問を子供達に問いかけることで、子供達が自立心を持つ事や、目標を持った人間に育つと信じていた。
陽子が2歳の時、私はこの質問を問いかけた。すると陽子は元気いっぱいに
「ごはん!」
と答えた。
「そうか!陽子はご飯をおなかいっぱい食べる為に生まれてきたのか!」
私は陽子をギュッと抱きしめた。
3歳になったら海に入れて良いと妻と約束していたので、3歳の誕生日に心配する妻を後目に海に連れて行き、波打ち際で海水浴をした。
そして私はこの日、ある事件を起こしてしまう。
彼女は大はしゃぎしてしまい、目を離した隙に沖の方へと走って行き、溺れさせてしまいそうになってしまった。
そして、後で妻にこっ酷く怒られた。
落ち込んでいた私に陽子は
「私のせいで怒られてごめんね」
彼女の優しさに、涙を流した事を記憶している。
本当に危ない事をしてしまったと反省した。